なぜ奥出雲の野菜はおいしいの?『うちの子も夢中です。』

みなさんは「出雲野菜」をご存知でしょうか?

出雲地域の若手農家の方々が集まり結成され、 旬の完熟野菜を子ども達に届けたいという生産者の思いから作られた野菜ブランドです。以前ローカルガールズが取材をした「星のぶどう」を作られているギアファームの星野さんも出雲野菜のメンバーです。

今回、星野さんのご紹介で、同じく出雲野菜のメンバーである『うちの子も夢中です。』の大塚さんへ会いに、島根県奥出雲町へ行ってきました。

【我が子も夢中!!】なぜ奥出雲の野菜はおいしいの?

奥出雲町まで。一本道なのにも関わらず、ナビを凝視しながら運転し(前を見なさい!) 「目的地に近づきました。案内を終了します。」の女性の声にびっくりしたわたし。

……どこ?

大塚さんへ電話して、ナビでは着いたみたいだがこのナビ古いので、合ってるか分からない、見つけられません(タスケテー)と経緯を説明。

「いまちょうど外出してて、5分後にそっちに行くから待っててください。」

とあたたかい返答を頂きました。

そして5分後。大塚さんと初めてのご対面。そしてめっちゃすぐ目の前(厳密にいうと少し左の方)に事務所がありました。自分の視野の狭さに感動を覚えるくらい。ここ見逃すかな?と思うくらいにすぐそこにありました。(ごめんなさい)

『うちの子も夢中です。』というのは会社名であり、ここから出荷される野菜のキャッチコピーでもあります。松江市ではみしまや、出雲市ではグッディなどで陳列されているので、ご存知の方もたくさんおられるのではないでしょうか。

さてこの“うちの子野菜”いまとっても注目されています。

キャラクターのうちの子ちゃん株式会社うちの子も夢中です。

『うちの子も夢中です。』にみんなが夢中になってしまう3つのポイント

今回の取材でたくさんのことを大塚さんから教えていただきました。その中からポイントを3つにしぼって、今回ご紹介します。

ポイント1:奥出雲町の地域資源の活用

“うちの子野菜”はどうやって作られているか。どうしておいしい甘みのある野菜ができるのか。その秘密は奥出雲町という地域の資源を活かしているところにありました。

①ダムの畔を歩く自然放牧牛の堆肥

②地面を自由に歩く鶏の鶏糞

③たたら製鉄の歴史が詰まった鉄分豊富な土

④江戸時代より伝わる生活排水の入らない清流「坂根の延命水」

大塚さんは奥出雲地域の畜産家、酪農家、養鶏家と連携し、地域資源を活用することによって、資源の地域循環の輪を作っておられます。

この4つの資源をみると、奥出雲町が恵まれた土地と思われるかもしれません。しかし決してそうではありません。

奥出雲町の畑は山を切り開いて畑にしています。山が花崗岩(かこうがん)でできているので、土は花崗岩が風化してできた真砂土(まさど・まさつち)と言われる土です。この真砂土は駐車場などに敷かれるような土で、畑に適しているわけではありません。生産者からみれば最悪の土、と大塚さんは言われていました。その大きな理由としては、水も肥料も土の中に残さず流れてしまうからです。しかし別の視点からみると、余計な肥料が残らないので、雑味も残らないという利点があります。

また奥出雲町のキャベツは甘くておいしいと人気ですが、その理由のひとつにもこの土が関係しています。水も肥料もの残さないので、キャベツは目一杯根を広げます。この根の広がり方は、他の土地で作られたキャベツと雲泥の差のようです。キャベツは根っこを広げないと水が吸えないため頑張ります。その頑張りのお陰で甘いキャベツができあがるのです。

大塚さんは、酪農家さんと連携し「牛の放牧」を取り入れておられます。この理由は雑草対策です。牛に雑草を食べてもらうことで、トラクターをかけたりする必要もない。酪農家さんにとっては肥料代の負担が軽くなります。わたしたちも、牛の放牧されている畑でできた野菜というのを聞くと、おいしいイメージが沸きますよね。

大塚さんはこのような誰も損しない方法を編み出しています。

その他、養鶏場といえば狭いゲージの中に鶏がいるイメージですが、奥出雲町の養鶏場では地面を自由に歩かせ、卵を産ませます。この元気な鶏たちの鶏糞も、うちの子野菜をおいしくさせています。また水道水を使用せず、奥出雲町の湧き水「坂根の延命水」を畑に使用しておられます。

大塚さんは「僕が選んだわけではない。奥出雲町にこれがあったから利用しているだけ。」とおっしゃいます。奥出雲町の土地の良いところ、悪いところも理解が深いからこそ全てを上手く循環させおいしい野菜が作られるのだなと感じました。

ポイント2:「うちの子も夢中です。」のキャッチコピー

『うちの子も夢中です。』これだけ聞いたら、まさか会社名だとも、野菜のキャッチコピーだとも思いませんよね。これを思いついたのは東京出身である大塚さんだからこそかもしれません。奥出雲出身の方より奥出雲を知っている大塚さんですが、奥出雲町へ移住したのは5年前。それまでは東京のゲームメーカーで働かれておられました。

ではなぜ奥出雲町で野菜作りをすることになったのか。

「東京などで野菜販売をしているところをみると、おじいさんの顔写真があって“わたしが作る○○、わたしのこだわりの○○という売りかたが多いんですよね。農業は究極のプロダクトアウトみたいな感じで、そこに違和感を感じました。」

プロダクトアウトとは、企業が商品開発などをする上で、作り手の理論や計画を優先させる方法のこと。買い手(顧客)のニーズよりも、「作り手がいいと思うものを作る」「作ったものを売る」という考え方です。

「東京で働いていたゲームメーカーでは“顧客に対してどういう価値を提供するか”という切り口で広告宣伝してきました。農業はそういうのがない。これを農業で試してみたい、と思い始めました。」

「会社名でもありキャッチコピーでもある“うちの子も夢中です。” “うちの子”って僕の子のことでもあるし、購入者の子のことでもあるんですよね。誰の子でも夢中にさせます!という意味合いにしています。子どもに健康でおいしい野菜を食べてもらいたい、子どもの未来に貢献したい。ではそれを実現させるためにどのような生産方法をとるのか。ぼくはそういう考え方で農業をしています。」

5年前に奥出雲町へ移住し、うちの子ちゃんができたのは2年前。会社として「うちの子も夢中です。」を立ち上げたのはなんと今年からだそう。でもすでに東京・大阪・広島を中心に県外、主に都会からの注文が殺到しています。

わたしが取材した日は水菜の出荷作業が行われていましたが、この水菜は大阪の松坂屋へ陳列されるそうですよ。

ポイント3:働き方改革!新しいワークスタイルを実践

『働き方改革』

この言葉を耳にすること、最近よくありませんか?

2016年頃から、政府主導による「働き方改革」が進み始めました。これまで、「長時間仕事をしたり、残業をしている人が頑張っている」という考え方の多かった日本の社会。現在は「より効率的にアウトプット(成果物)を生み出しているか」を評価しようという動きに変わってきています。

ちょっと真面目に語ってしまい「ガイアの夜明け」感を出してしまいましたね。

『うちの子も夢中です。』での働き方。奥出雲町の働く層を活かした新しいワークスタイルを実践されています。

○基本的に3時間連続で働くことができれば、いつ来て、いつ帰ってもOK

○いつ休んでもOK(急に自治体のイベントで来れない!となってもOK)

○Wワーク、もちろんOK

こんな働き方、とっても魅力的ですよね。『うちの子も夢中です。』の従業員は20代~60代の年齢バラバラの4名。勤務日や時間も週に3回の方だったり、夜だけの方。不定期にこられる方もおられるそう。シフトは会社が作成するのではなく、従業員が決めるというスタイルですね。

なぜこんな勤務体系を実践できるのか?

「農業をフルタイムでやりたい、という人はそんなに多いわけではないです。ですが自分の中のちょっとした空き時間、すきま時間を有効に活用したいという人は奥出雲町でもけっこうおられます。農業のいいところは仕事がわかりやすい、というところです。また1日作業しなくても少し草が伸びるくらいと考えるので、僕にとってはたいした誤差ではありません。」

わたしが週1で来てもいいですか?と聞いてみました。

「もちろんいいですよ。連続3時間勤務をしてもらえれば。やっぱり3時間くらい連続でしないと効率が悪いです。3時間は集中してやってください!」

勤務体系は柔軟に、でも働くときは集中して効率よく。これこそ「働き方改革」ですね。

ニンジン畑で採れたて野菜をいただきました!

最後に畑へ連れて行ってもらいました。

取材に行った11月下旬はニンジンは育ち途中。12月中旬ごろに収穫されるそうです。ですが、大塚さんのご好意で前からやってみたかった“アレ”をしてきました。

“アレ”とはもちろん、その場で採れたて野菜を食べてみるっていうやつです。よくテレビのレポーターがしている“アレ”をしたかったんです。

ニンジンをひとつ採ってもらいました。(収穫前なのにごめんなさい)

それをこの湧き水で洗って……こんなにキレイになります。

それではさっそく頂きます!「いただきま~す。」ポリポリ……

生のニンジンって独特の臭みがあったりしますが、うちの子野菜のニンジンはとっても甘い。ほんとに甘いです。そのままジュースになりそうな甘みです。これも大塚さんの毎日の手仕事と、奥出雲の土や水のおかげなんですね。もちろん大塚さんのたっぷりの愛情と……♡

カラフルニンジンも採っていただきました。カラフルニンジンはレストランなどへ出荷されることも多いそう。見栄えがオシャレなので、料理も映えそうです。これは帰ってから編集室のみんなに見せよう!と思いそのまま持って帰ることにしましたよ。みんな待ってて~♪

普段何気なく食べている野菜。栄養があるのは知っているけれど、正直苦手な野菜もあります。でも一つ一つの野菜には、わたしたちの食卓にならぶまで、様々なストーリーがあります。生産者の方のアイデアや知恵はもちろん、購入者の金銭的負担も考慮して、いかに低価格で提供できるのか(運賃コストをどうするか)など考えられています。今回の記事では書ききれませんでしたが、『うちの子も夢中です。』にも、まだまだたくさんの想いやヒストリーが溢れています。

今夜食卓に並んだ食材をみながら、少しでも「この野菜たちが、わたしたちの口に入るまで」のことを考えていただけたらとってもうれしいです。そして「自分の子や大切な人に食べてもらいたい!」ときっと思える『うちの子も夢中です。』の、うちの子野菜。みしまややグッディで見つけたときには、ぜひご賞味ください。お味はローカルガールズが保障します!!大塚さん。お忙しい中快く取材をさせて頂きありがとうございました。

『うちの子も夢中です。』のホームページでは、おいしいレシピ情報なども公開されていますので、ぜひチェックしてみてください。

うちの子も夢中です。

会社情報

住所〒699-1812 島根県仁多郡奥出雲町大谷840番地1
TEL050-3699-6224
FAX0852-35-5167
HPhttp://uchinoko-vegetable.com/
MAILinfo@uchinoko-vegetable.com
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